VESICA PISCIS MAGAZINE
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【INTERVIEW】覚醒するUSモダンゴス。―ドリーム・ポップの新たな扉を開くFawns of Loveが仕掛けたRobin Guthrieプロデュースの新作を直撃

INTERVIEW

今や世界でカルト的な人気を獲得したDrab Majestyを筆頭に、The KVB、アイスランドのKælan Miklaなどシューゲイズ、ドリームポップに親和性をもつ、ダークウェイブ/ポストパンク勢が着々と若い世代からの支持を獲得している。
カリフォルニア州ベーカーズフィールドを拠点に活動するJenny Andreotti(ボーカル)、Joseph Andreotti(シンセサイザー、テナーギター)によるポストパンク・デュオFawns of Love(フォーンズ・オブ・ラブ)もまた最前線でシーンを牽引する1組である。
2019年にTest Pattern Recordsより『Permanent』でデビュー。米メディアLA Weeklyのalbum of the weekに輝いたほか、The Big Takeover Magazine、Ghettoblaster、Part Time Punks、The Current各誌の2019年のベストオブザイヤーに選出され、Echo Park Risingなどフェスへの出演やChoir BoyXeno&OaklanderCold ShowersSRSQと言ったDAIS Recordsのアーティスト達とも多く共演している。
そんなFawns of Loveの2020年最初のシングルは、なんとRobin Guthrie(ロビン・ガスリー)が手掛けていると言う。
今回は結成時から最新シングルに至るまで様々な質問をJennyとJosephの2人に答えて貰った。

Fawns of Love – "Permanent" (Part Time Punks Session) [Official Video]

 

-バンドはどのようにスタートしましたか?簡単なストーリーを教えてください。

ジョセフ:ジェニーと僕が2001年に出会ってから、さまざまな音楽プロジェクトで一緒に音楽をプレイしていたんだ。2013年にジェニーが大学院に入ったので、僕たちの活動は一旦休止した。彼女が学位を取得したあとに、Fawns of Loveという新しいプロジェクトとして再び始めることにしたんだ。

-どんな音楽に影響を受けて音楽を始めたの?あなたの音楽のルーツを教えてください。

ジョセフ:ジェニーと僕は常に音楽への愛を共有していて、ミュージシャンとしてのキャリアを通じていくつかの同じバンドに触発されているんだ。Cocteau TwinsとJulee Cruiseは、僕たちが音楽的にやっていることに常に大きな影響を与えていると感じる。また、New Order、Pet Shop Boys、YMO、Erasureなどのエレクトロニック・アクトにも影響を受けてる。後期の高橋幸宏のソロアルバムは僕たちの作曲に大きな影響を与えていると言えるよ。

– バンド名には何か意味を込めましたか?どんな経緯でその名前になったの?

ジョセフ:僕たちはケイトブッシュの「Hounds of Love」のLPが大好きで、そのアルバムを参考にしたバンド名にしたいと思っていたんだ。Hounds of Loveは既に存在していたので、少しアレンジして「Fawns of Love」にしたんだ。 ある意味、Fawns(子鹿)は僕たちの音楽をうまく呼び起こしている名前だと思う。

– Fawns of Loveはどんな音楽からインスピレーションを受けていますか?

ジェニー:ファンは私たちのサウンドをCocteau TwinsとNew Orderの組み合わせとして話しているわ。私はそれが好きよ。エーテルのようなボーカルとNew Order / Joy Divisionのようなサウンドを組み合わせるアイデアが好き。皆は私たちをドリームポップ、シューゲイズ、エレクトロニック、ポストパンク、ニューウェーブ、コールドウェーブ、ゴス、インディーズと言っているわ。私たちは2人の間で折衷的な好みを持っているので、私たちの音楽を分類するのが難しいのは理にかなっていると思うわ。

– 2019年にリリースされたアルバム『Permanent』から「Someday」をRobin Guthrieと一緒にやろうと思ったのにはどんな理由がありますか?この計画の構想はいつ頃からありましたか?また、私たちが「Someday」の曲をより理解する為のキーワードを教えてください。

ジョセフ:「Someday(Robin Guthrie Version)」のコラボレーションは、Guthrieが曲のリミックスをしているときに始まったんだ。時間が経つにつれて、Guthrieはそのトラックに取り組み始め、すぐにまったく新しいバージョンの曲に変わったんだ。彼はその曲でギター、ベース、キーボード、ドラムを演奏することになって、曲にまったく新しいムードを作り出した。

Someday (Robin Guthrie Version)

 

ジェニー:「Someday」とは、2人の人間を切り離すことなの。それは、ある人が非論理的に振る舞う別の人の論理的な理由を合理化して見つけようとすることについて書かれているの。自分の人生経験を介して、実際にはあなたは2人の非常に異なる人なので、あなたは決して理解できない人の行動を説明しようとすることです。

– Fawns of Loveのサウンドを作る為に重要な楽器やペダルはなんですか?また、それのどんな部分が気に入っていますか?

ジョセフ:僕たちが使用している主な楽器は、Moog Grandmother、Moog Subharmonicon、Moog DFAM、Eastwood Warren Ellis Tenor Guitar。 エフェクトにはSpace EchoとSmall CloneなどのさまざまなElectro Harmonixギターペダルを使ってる。過去のレコーディングでは、808ドラムマシン、LINNドラムサンプル、Korg MS20も使った事がある。たくさんのディレイとコーラスを使って、ムーグシンセサイザーとギターの両方のサウンドをぼかして、リスナーがその2つを区別できないようにするのが好きなんだ。

– 音楽以外では何に興味がありますか? 好きな本、映画、アートはありますか?

ジェニー:『(The Boulet Brothers’)Dragula』を見るのが大好きで、その番組の才能に常に刺激を受けてるわ。Boulet Brothersが着用する息をのむような美しいルックスを見るのは、一人で観るとすごく良いの。それと私はめちゃくちゃ陽気なラブ・コニーと関係があるものを見るのが大好きで、いつでもコニー・ウッドを見て気分がアガるの。ジョセフと私は今年の夏にツインピークスのシーズンごとに再視聴して、デビッド・リンチから常に刺激を受けているのよ。それと、ファンが私たちのために作ってくれたアートにも刺激を受けてる。才能豊かで寛大なファンがたくさんいて嬉しく思っているの。本に関してはドロシーパーカーは高校生の時から私のスピリット・アニマル(憧れ)なの。彼女を永遠にそしていつも愛しているわ。

– 世界的なCOVID-19パンデミックで心境やあなたの生活は変化しましたか?

ジェニー:COVID-19は誰にとっても非常に困難な事だったと思うの。私は自分のうつ病に好戦的に挑んでいて、孤立していることは絶対に必要なの。で、もちろんCOVID-19は精神的健康にも影響があったわ。それぞれが内なる悪魔に直面し、私たちの関係の多くが試されたと思う。COVID-19のせいで愛する人を亡くしたすべての人に深い共感を覚え、皆の安全を願っています。人生がどのように変わったかに関しては、パンデミックによって仕事や、音楽の書き方、お金の使い方、人間関係の見方、私が大切にしていること、そして私の日常生活が変わったわ。私たち全員の人生はそれぞれだし、とりあえずワクチン接種後の人生がどのようになるかを知りたいと思ってる。

– 今後の展望を教えてください。

ジョセフ:Kingfisher Bluez Recordsは、Fawns of Love x Robin Guthrieの2回目のプレスをすることになってる。現在、新しい紫色のカラーヴァイナルで完売しているGuthrie 7インチ。あとは、2021年にリリース予定の新しいLPの制作とレコーディングに取り組んでいるんだ。次のSpring/Summerのツアーもやる事を見込んでる。

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text by PØRTAL EDITORIAL TEAM