INTERVIEW
多文化主義として知られるカナダ。同国でも特にカルチャーを牽引するのがPenny Divingが拠点としているケベック州モントリオールである。
住民の7割弱が第一言語をフランス語としており、フランス文化と北米文化と混合しながら発展した文化の歴史を持つ。ミュージック・シーンにおいても話題には事欠くは無く、Arcade Fire(アーケイド・ファイア)やGrimes(グライムス)、Blue Hawaii(ブルー・ハワイ)、Wolf Parade(ウルフ・パレード)、 No Joy(ノー・ジョイ)と言ったインディー・シーンで強い支持を集めるアーティストを輩出してきた土地でもある。
そんなモントリオールの最前線に立つドリームポップ・バンド、Penny Divingからシャンタルがインタビューに答えてくれた。
– バンドは始まりとバンド名の背景について教えて下さい。
私の双子の姉妹であるKat(キャスリーン)とは小さい頃から一緒に音楽をやっていて、彼女はベースを演奏していたの。歌のレッスンを初めて、それから一緒に音大に通っていたわ。ペニー・ダイビングでクリエイティブなプロセスに関わっている夫のトーマスとは以前やっていたプロジェクトで出会ったの。
バンド名はトムと一緒にブレインストーミングをしながら決めたわ。彼にとってその名前は子供の頃を連想させるもので、彼のおじいちゃんがプールの底にペニーを放り投げる様子から、文字通り「Penny Diving(ペニー・ダイビング)」とバンドを名付けることにしたの。素敵なイメージを思い浮かべるでしょう?
– 影響を受けた音楽について教えて下さい。
私たち姉妹はティーンエイジャーのときにNirvana、Hole、Sonic Youthなどのグランジをたくさん聴いていたけど、同時にNeil YoungやJoni Mitchellなどのクラシックなシンガーソングライターの曲も良く聴いていたの。彼らは私のバンドのために曲を書く方法を示してくれていると思うの…私は常に自分の音楽に対するアプローチを「ソングライター」であると考えているところがあるわ。
– 「Big Inhale」の曲やアルバムのコンセプトやイメージについて教えてください。
最初からアルバムタイトルは『Big Inhale』と名付けようと思っていたの。自分の中にうまく吸収する(Inhale)ことで、困難な瞬間を乗り越える感覚がカプセル化されていると考えているの。そして、それが社会のより大きな文脈にどのように置き換えられるか、世界がどこへ向かっているのかを見るのが好きなの。私たちは今すぐに『Big Inhale』することができると思ってる。
- アートワークもタイトルと同じタイミングで決まったんですか?
アートワークはアルバムタイトルからインスパイアされてKatが作ったの。初期のソニックユースの美学が私たちの音楽に合うと考えたからよ。
– Big Inhaleで好きな曲を選ぶとしたら?
うーん、そうね、アルバムの最後の曲「Undertow」がとても気に入っているわ。ライブで演奏するのが好きなの。アルバムに収録していないテイクで、ライブではとてもノイジーなアウトロに入っていくのよ。
– ペニーダイビングの楽曲が出来るうえで重要な楽器やペダルがあれば教えて下さい。
トーマスは間違いなくバンドのギアヘッド(機材に詳しい人)だと思うわ。家にスタジオがあって、そこでたくさんのアルバムをレコーディングしているの。彼は2つのアンプ(ampeg reverb rocketとRoland Jazz chorus)を使っていて、私の方はfender pro reverbを使ってるの。エフェクターに関しては、私はモントリオールで作られたブティックペダルでSurf Rider Reverb pedalがとても好き。
– Dream Pop以外に好きな音楽があったら教えてください。
いつも様々な音楽を聴いていて、昨年はWeyes Bloodのレコードが最高に素晴らしいと思って聴いていたかな。あとはDrab Majesty,Purple Mountains, Cate Le Bon and Sharon Van Ettenのアルバムもヘヴィーローテーションしてる。
– あなたはバンドでTalking Headsの「Heaven」をカヴァーしていますが、なぜこの曲を選んだの?
私はこの曲が大好きで常に最高だと感じているの!歌詞は時代を超え、心に響くエモーションを感じるから。で、これを自分たちが楽しむ為にカヴァーしようと提案したのは私の妹なの。私たちは、この曲がよりムーディーなシンセ主導のアレンジにうまく解釈できると思いついたの。
– 音楽以外で他に興味があるカルチャーはある?例えばお気に入りの本、映画、アート等あれば教えてください。
私はいま、フェミニストとジェンダーの研究をしているの。社会学と抑圧について学び、その研究をする事にとても興味があるの。このテーマに関するお気に入りの本のいくつかは、アンジェラ・デイビスによるブリトニー・クーパーの雄弁な怒りと女性、文化と政治です。その他には東洋の哲学とヒーリング・アートにもとても興味があって、現在はチャクラを探究しながら心理学について語る本、イースタンボディ、ウエスタンマインドという本を読んでいるわ。
Katはレイキとヨガを実践しているので、間違いなくスピリチュアルなものと形而上学に興味を持っていると私は思うわ。後は、村上春樹の小説や宮崎映画も大好きよ!
– カナダの音楽シーンについて教えて下さい。
さて、私はモントリオールの音楽シーンについて語ることが出来るけれど、本当にそれが特別だと感じるところは、この街の音楽の多様性にあるんじゃないかと考えているわ。フランス語圏と英語圏の2つのシーンが存在するユニークな場所で、両方のシーンは大きな違いがあるけど、私が好きなのはそれが開放感に満ちていて一体感がある事かしら。そして、街の文化的多様性を考えたときに、それはとてもオープンマインドで興味深いシーンを生み出すと思うのよ。まさにジャンルと言語の坩堝だわ!
– バンドの今後の展望を教えてください。
今、新しい曲を作っていて、それを近々レコーディング予定なの。「Big Inhale」を作って以来、私のソングライティングは進化した気がしているの。だから、またクリエイティブな方向に精神が向かっていく時期なんだと思う。そしてもちろん、日本にバンドでいく事が私たちの夢なので、いつかそうなる事を願っているわ!:)
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text by PØRTAL EDITORIAL TEAM
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