INTERVIEW
シューゲイズの真髄とは何か。それは嵐が吹き荒れるが如く衝動へ直接コンタクトする爆音ロック=ファズ・ストームである。The Jesus and Mary Chain、Skywaveから爆音ロックンロールを継承し、00年代以降アジアのシューゲイズ・シーンを牽引したシンガポールのStellarium(ステラリウム)が久々の新作であり新境地となる2ndアルバム『Untitled』と10年の活動ついて語ってくれた。
– 現在のStellariumのメンバーとパートを教えて下さい。
Stellarium:今のメンバーはAzがギターとボーカル、ベースはBach、ドラムはAzril。
– デビューアルバムはアメリカのCustom Made Music / Unexplainable Recordings(※1)からのリリースでしたが、どのような経緯で彼らとサインをする事になったの?
Az:2000年代初頭から中頃に俺たちが活動を始めたときに、世界中のバンドや友人のシューゲイズ・ネットワークがあったんだ。
俺たちは、90年代後半から00年代前半のノイジーなシューゲイズサウンドに熱狂していた。そこで、Ceremony(East Corst)、Static Daydream、A Place To Bury StrangerのメンバーがいるSkywaveを知る事になったんだ。彼らを通じてCustom Made MusicのDaveと話した結果、限定盤としてファーストアルバムをリリースすることを勧められたんだ。それは俺たちにとって美しく、素晴らしい出来事だった。
– Stellariumサウンドは激しいファズ・ストームが印象的です。このサウンドを目指す事になる影響を与えたものは何ですか?
Stellarium:Life.
Az:俺たちはロマンティックさに跨がって、シューゲイズの空気感があるアンビエントでメロディックな側面を持った曲をたくさん書いたんだけど、現在の政治情勢を考えたとき、俺たちを取り巻くこの時代にどのように対応していくのかと言う事に焦点当て、もっと現在の状況に適した方向を選択したんだ。社会的、環境的問題、芸術、詩、そして時には議論されない人生の暗い側面。ただし、新しいアルバムのレコーディングでは、支配的でコンセプチュアルなノイジー・ギターサウンドによってしばしば見落とされがちな「バランス」と「調和」を意識して制作した。
– Shoegaze以外で影響を受けたバンドやルーツがあったら教えてください。
AZ:Rock & Roll, Surf, Psychedelia, Yeh-Yeh, Garage, asian Pop Yeh-Yeh,
P-Ramlee、そして三味線や琴、Keroncong music,Gamelanなど、50年代と60年代のスピリッツに強く影響を受けてるんだ。50年代から60年代にかけて、ファーストアルバムや『Untitled』の特定のトラックで、俺たちが再現した共通の音質があるんだ。その他、goth,post punk, dreampop, baggy, madchester, indie raveの時代に加えて、Drum and bass, jungle music, hip hopにも注目しているよ。
Bach:まあ、色々分け隔てなくきくけど、そのときの気分によるね。ベーシストの観点からは間違いなく、The Cure、Suede、Bauhaus、The Stone Roses、Jesus and Mary Chain、The Charlatansを挙げるね。その他もたくさん聴くけれど。
-10年振りにリリースされた、アルバムは『Untitled』と名付けられていますが、アートワークからはいくかの「文字」を読み取る事が出来ます。その意図もしくはヒントを貰う事は出来ますか?
Bach:カバーアートのタイトルは『Untitled』で、もともと抽象芸術へのステートメントとして僕が作ったんだ。芸術家がいかにしてイメージしたものの理論と意味を説明しうるのか、見かけ上「単純」で「楽」抽象的な作品は、芸術の訓練をしていない子供でも作れると人々が言うかもしれない。アートは複雑すぎてはならない。アートはエリートだけのものではない。アートは大衆に伝えなければならない。抽象的な僕の絵は、審美的なもの自体が自分自身に返ってくる事が自明である。その抽象的な要素は現在、装飾的な基盤としてのみ機能している。むき出しにして、見るものの誰もがアクセスできるようにしたんだ。
あの文字は「Understand Me」と読めるだろう。音楽についても同様に。アクセシブルで、生々しく、エモーションに満ちている。
– 次はあなたの活動の拠点となっているシンガポールと東南アジア地域の音楽シーンについて質問です。アジア全体を見てもシューゲイズが浸透している事は我々も感じていますが、StellariumはThe Jesus and Mary ChainやSkywaveの系譜に位置付けられ、アジアではその分野のパイオニア的な存在です。あなたの視点から見てこの10年のシューゲイズシーンについて変化を感じる事はありますか?
Az:Wow!最近はたくさん新しいバンドや音を作る奴らが出てきて、アジアのジャンルとしてのシューゲイズにとってはかなり最高な時期だと思うぜ。マジで良い変化を感じるから積極的にチェックしていきたいと思ってる。
また、アジアでは西洋の音楽を真似するをやめるのに十分に良い音楽があると思っている。特に「ポップ」なものでは。俺たちと同じような影響下の、よりノイジーなシューゲイズが多く生まれてきて欲しいと思ってるんだ!
これが俺が言うべき全てだろう。
– CDには沢山のライブの写真やオフショットで構成されたポスターが封入されていましたが、新しい作品をリリースしてこれまでの活動を振り返ったときに、なにか心境の変化はありましたか?
Az:90年代半ば以降、俺たちの周りにはすべての音楽とその影響があり、音楽の精神を維持することだけが必要だった、というのが明らかになった。これがすべての問題なんだろう。あの頃から何も変わっていないんだ。本当に。何年にも渡って成長し続けたと思うし、ソングライティングにはいくつかのバリエーションが作れるようになったけれど、頑張って「存在する」ことを望んではいないんだ。いくつかのものは俺たちより巨大だ。音楽のように。
Bach:シューゲイズに聞こえるように努力しすぎないという意味で、より成熟出来たと思う。ニューアルバムでは影響を受けた様々なスタイルの曲を聴く事が出来るだろう。
Azril:僕が感じる唯一の変化は、僕が遂にStellariumのアルバムの一部になったことかな。
-新作ではサイケデリアよりもロック、パンクの側面が強調されたように思います。この攻撃的なアルバムの構想はいつ出来上がりましたか?
Az:シューゲイズの美学にあまりこだわりすぎないように注意して、音楽や作詞作曲に90年代の要素をたくさん取り入れたんだ。シューゲイズ・スペクトル内でノイズロックとクラウトロックの要素が目立つ感じがあったので、それらの要素も注入して楽しんでいたんだ。1つの例として注目して欲しいのは、Teenage Fanclub『Bandwagonesque』のトラック「Satan」。これは、遊び心を曲の構造に組み込んでみたんだ。
あとは「Space Candy」をメロディックな音で終わらせたかもしれないけど…ともかく、もっと音で楽しみたいと考えてるんだ!
Azril:僕はずっとパンク・バンドでドラムをやっていて、それが自分のルーツとなっているシーン/ジャンルなんだ。だからステラリウムで叩き始めたときに、そのスタイルは反映されていると思う。
– Stellariumのサウンドを作るに当たってお気に入りのペダル、Stellariumのサウンドに欠かせないペダルはありますか?
Az:EARBLEEDWAXPOPSUPERSONICWHITENOISESOUNDFEEDBACKFUZZILL。
そのペダルに勝るものはないぜ!
– クレイジーな名前で面白い!EARBLEEDWAXPOPSUPERSONICWHITENOISESOUNDFEEDBACKFUZZILLはどんな音が作れるの?それはどの曲で聞ける?
Az:これはバンドのアティテュードのことなんだ!Fuzzy and noisy.
ほとんどの曲で聞く事が出来るぜ!
– Stellariumの今後の展望はどんな感じ?
Az:2020年に向けてアジアで中国ツアー等を計画したんだ。日本、香港、台湾ツアーも考えていた。しかし、Covid-19のパンデミックによって、多くの計画を変更する必要があったんだ。
棚に置き、脇に置いたりと…。
俺は人生のあらゆる面で、誰にとっても物事が良くなることを願ってる。それは今もっとも重要なことだ。
いったん問題がなくなれば、自分のやっていることを続けていきたいよ。
沢山の国でツアーをして、沢山リリースしていきたいと思ってる。
日本でもプレイしたいんだ!
インタビューをありがとう!すぐにFUZZBOMBしたいぜ!
(※1)Skywave、Ceremony、 Ringo Deathstarr、Dead Leaf Echoなど数多くのシューゲイズ作品をリリースするヴァージニア州のインディーレーベル
http://vesicapiscis369.com/columns/1093/
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text by PØRTAL EDITORIAL TEAM
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