Heaven Or Las Vegas

2019年のシューゲイズシーンは完全に転換期であったと言える。日本国内においては未だサウンドに関して、その定義も曖昧な二元論的な語られ方をされ、スタイル自体が形骸化した感はあるが、海外では未だ多様化が進んでいる。
2000年代のエレクトロニカ、ニューゲイザーの登場時ような目新しい革新こそ無いが、それこそ定義付け出来ないほどオリジナルなものにシーン全体が変容している。

このイタリアはパドヴァから現れたニューカマーもそれらの1つの象徴である。
その名もHeaven Or Las Vegas。コクトー・ツインズの同名のアルバムから拝借したと思われるバンド名ではあるが、サウンド面では最近のバンドではChastityなどに近く、90年代オルタナティブな要素が強い。しかし深いリバーブやコーラスがかかったギターサウンドはドリームポップのそれであり、少年が自分の曲をカセットに録音しロケットに詰めて宇宙へ飛ばすと言うなんともエモーショナルなMVと相まって表情豊かな曲の展開がとても心地良い。
未だフルアルバムやフィジカルリリースは無いので今後の楽曲に期待。