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Wisp『If Not Winter』。シューゲイズ・リバイバル以降の文脈を更新。ドリームポップの浮遊感とベッドルーム・プロダクションを接続したUSシューゲイズ作品

Wispによる『If Not Winter』は2024年にリリースされたEP作品であり、USシューゲイズおよびドリームポップの新世代的展開を示すリリースである。アメリカ出身のアーティストWispは、シューゲイズのリバイバル潮流の中で登場し、インターネット文化と接続した形で支持を拡大してきた。本作はInterscope Recordsからのリリースとして位置づけられている。

本作のサウンドは、厚くレイヤーされたリバーブギターと、前景と背景の境界を曖昧にするボーカル処理を中心に構築されている。ジャンル的にはシューゲイズとドリームポップの要素を基盤としながら、現代的なベッドルーム・ポップ以降のミックス感覚が導入されている点が特徴である。プロダクションは明確な分離よりも音像の滲みを重視し、全体として流動的なテクスチャを形成している。

楽曲構造は比較的ミニマルな反復を軸としながら、感情のピークをダイナミクスではなく音圧の層構造で表現する傾向がある。先行的に注目を集めたシングル「Your Face」では、シンプルなコード進行と密度の高いエフェクト処理が組み合わされ、アルバム全体の音響設計を象徴する形となっている。楽曲群は明確なストーリーテリングよりも、断片的な感覚の連続として配置されている。

Wisp – Your face (Official Music Video)

文脈的には、『If Not Winter』は2010年代以降のシューゲイズ再評価の流れに加え、TikTokなどの短尺プラットフォーム文化と結びついた新しい拡散経路を持つ作品である。従来の90年代シューゲイズが持っていたバンド・アンサンブル中心の構造とは異なり、個人制作的な質感とデジタルネイティブな音像処理が前面に出ている点が特徴である。

また本作は、ジャンルとしてのシューゲイズをノスタルジックな再現ではなく、現在進行形のインターネット音楽として更新している点に特徴がある。音像は常に揺らぎを持ち、明確な輪郭を避ける設計がなされており、その構造自体が現代的リスニング環境に適応した形式となっている。

その結果として『If Not Winter』は、Wispというアーティストの初期的な代表作の一つとして位置づけられ、USシューゲイズの新世代的文脈を示すEPとして機能している。従来のシューゲイズの美学を継承しながらも、制作環境と流通環境の変化を反映した作品として記録される。

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    Wisp『If Not Winter』