Wispの『Pandora』は、2020年代のシューゲイザー・リバイバルを象徴する作品であり、轟音ギターと繊細なメロディを融合させた新世代シューゲイズの重要作。
Wispによる『Pandora』は2024年にリリースされたEPであり、シューゲイザーやドリームポップの要素を現代的な感覚で再構築した作品である。TikTokを中心に急速な注目を集めたWispは、本作によって単なるSNS発のアーティストではなく、次世代シューゲイズを担う存在としての評価を確立した。
本作のサウンドは、My Bloody ValentineやWhirrを想起させる厚みのあるギターサウンドを基盤としながらも、よりメロディックでポップな感覚を備えている。リバーブに包まれたボーカルと多層的なギターアレンジによって、クラシックなシューゲイザーへの敬意と現代的な感覚が同居する音像を作り上げている。
楽曲構造は比較的シンプルでありながら、メロディの強さによって高い中毒性を生み出している。代表曲「Your Face」や「See You Soon」は、轟音の中にも明確なフックを持ち、従来のシューゲイザー・ファンだけでなく、インディーポップやオルタナティブロックのリスナーにも受け入れられる内容となっている。
文脈的に見ると、Wispは2020年代のシューゲイザー再評価を象徴する存在の一人である。TikTok世代のリスナーをシューゲイザーへ導いたアーティストとして語られることも多く、ジャンルの裾野を広げる役割を果たしている。一方で、単なる懐古主義に陥ることなく、デジタルネイティブ世代ならではの感覚によって新しい表現を模索している点も興味深い。
その結果として『Pandora』は、シューゲイザーの伝統と現代的なポップセンスを結び付けた作品として成立している。2020年代の新世代シューゲイズを知る上で重要な一枚であり、今後の活動にも大きな期待が寄せられる作品である。

Wisp
『Pandora』
EP
Interscope Records
Released April 2024
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